「うわさ」



病弱な自分だとしても、ランニングして走ってみたらスポーツマンと思われる。

 

どうしようもないワルでも、髪を整えスーツを着れば社会人。

 

立派な人格者の男性も、セーラー服で外を歩けば交番行き。

 

 

こういう「服装で変わるイメージ」というのはどうでもいいのですが、

 

往々にして「変え難い己のイメージ」ってありますよね。

 

 

優しそう、とか、暗そう、とか、尿酸値が高そう、とか…。

 

 

僕の場合は、冷たそう、とか怖そう、女遊びが激しそう、エロそう、

 

とか言われることがあります。

 

ちょ、ちょ、エロそう?なに、それ?分かるの?一目で?殺すよ?

 

 

 

多感な季節(とき)も過ぎた。

 

兄貴とスキンの貸し借りもするようになった。

 

ビデオ屋の「アダルトコーナー」に買い物帰り、スーパーの袋を持って入ることも全く厭わなくなった。

 

そんな今では、先見的なイメージで揶揄されることに何も感じない。

 

 

「あの人冷たそう、かつエロそう!」

 

「ホントホント、エロい香りがプンプンするわー」

 

 

そのくらいの言葉なら鼻くそをほじりながら微笑を返す。

 

 

 

「こいつ、ネギを片手にAV物色してやがる…!」

 

「農家に謝れ!」

 

 

そんな視線を背中で感じつつ、余裕で及川奈央をチョイスする。

 

 

思えば遠くに来たもんだ…

 

 

ちなみに多感な季節(とき)というのは

 

「恥ずかしくて学校でうんこができない」

 

年齢のことなんですけど、それくらいの頃はやっぱり周りからの言葉に敏感でしたね。

 

 

 

「あの人、冷たそうよねー」

 

 

僕 (あわわわ…明日からカイロを常備しなきゃ…!)

 

 

「なんか優等生ぶってない?」

 

 

僕 (バイク!盗んだバイクで走りださなきゃ…!)

 

 

「あの人、エロそうよねー」

 

 

僕 (めがね、めがね…!)

 

 

驚くほど、けな気だった。

 

 

 

一番辛かったのは、中学三年生の頃。

 

中学生っていえば、頭の中はエロばかり。寝ても覚めてもエロ。

 

 

数学の授業で、円周率は?って聞かれたら

 

「0.72」

 

って答えるくらいエロ。

 

 

英語の授業で、なにか英語喋りなさい、って言われたら

 

「SEX」

 

って言うくらいエロ。

 

 

 

社会の授業で、年号の覚え方を発表しましょう!ってなると

 

「イクイク ベルサイユ」

 

しか答えないくらいエロ。

 

 

 

そのくらい中学生はエロまみれ。

 

校庭の中心でエロを叫んだりもした。

 

そして職員室に呼び出されたりもした。

 

 

つまるところ、その頃の僕らは異性への興味でいっぱいだということ。

 

 

 

そんな時期の僕に投げかけられた言葉で、今でも忘れられないものがある。

 

 

 

 

「アンタってさ、ホモ、なんだよね?」

 

 

 

 

(´ё`)

 

 

 

 

「ですか?」じゃなくて「だよね」。

 

 

僕の意思の介在することを許さない投げかけ方。

 

 

 

 

みの 「あなたは『ホモ』ということでファイナルアンサー?」

 

 

「ファイナルアンサ ちょっと待ちなよ

 

 

 

あまりにも酷いこの仕打ちに、さすがの僕もブチ切れた。

 

そばにあった机を蹴り上げ、無言で教室を後にした。

 

 

そのままトイレに駆け込み、

 

「痛っ、痛っ…」

 

と、机を蹴った時に打ったスネのケアをした。

 

 

 

結局、僕のホモ説はその後も依然としてささやかれ続けた。

 

 

結局原因はわからなかったけれども。

 

 

と、まあ何がいいたいのかよく分からなくなりましたが、

 

周りの思い込みって怖いですねってことで。

 

 

 

皆さんも気を付けましょうね!

 

 

 

−そして、高校生になった−

 

 

「ねえねえ、あの人ってヤリチンらしいよ!」

 

 

「ウッソー!こわーい」

 

 

 

ぼくは どうてい なんですけど!

 

 

僕の右手がヤリマンと呼ばれることはなかった。おしまい




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