「町興し」



過疎に喘ぐ地方行政は、何とかして己が地域に人を集めたいとの思惑から

現在はこぞって町興し、村興しの企画をモリモリ打ち立てている。

 

我が故郷下関もご他聞に漏れず過疎に喘いでおり、人口は減少の一途。

 

こらアカンわ、と下関の江島潔市長が思ったか思わなかったかは分からないが、そんな中

「町興し」の一環として「海峡メッセ下関」という施設建設計画をブチ上げた。

 

コンセプトとしては

 

「古くからアジア大陸への玄関口として重要な役割を担ってきた海峡の街、下関。

海峡メッセ下関は、新たな下関のシンボルとして、観光、国際交流、アジア諸国との

経済交流などのさまざまな分野において中核的な役割を果たしていきます」

 

ということらしい。なるほどね。

 

中でも当時目玉だったのは、西日本有数の高さを誇るという

 

「海峡夢タワー」

 

であった。

 

どうせなら「西日本一高い!」とかいう枕詞を付ければええのに、と思ってしまうのだが、

そこは地方行政を圧迫する財政難の息吹を感じずにはいられない。

苦肉の策として付けられたのが「西日本有数」。

DA PUMP のようなそこはかとない中途半端さを醸し出しているところが切ない。

 

それはいいんですけど、とにかく

「おいおい何かでかい建物ができるらしいぜ!」

と、夢タワー建立の知らせは下関に住む人々の心を鷲掴みにしたのだった。

 

月日は流れ…

 

かなり大掛かりなプロジェクトであったため、建設にはそれなりの時間を要した。

しかしながら、止まない雨はない。明けない夜はない。

ついに、僕たちが待ち望んだ海峡夢タワーはその姿を現した。

 

「おい!やっとできたらしいぜ、なんとかタワー!」

 

「マジで!見に行こうや!」

 

夢タワーという至極シンプルな名称なのに「なんとかタワー」と言ってしまうあたり

絶望的なバカさ加減を感じずにはいられないのですけど、そんなことはどうでもいい。

 

期待に踊る胸を抑えて、僕たちは、そう、まさに下関市民の「夢」と言い切っても何ら差し支えない

その建物を見に走ったのだ。

 

ついにその全貌が明らかに−−−

 

 

夢タワー (←クリックしてリンクに飛びます)

 

 

何ともサノバビッチだぜ、こりゃあ。

 

高い、確かに高い。でもそれだけだ。

 

いや、アトラクティブな建物と言わしめるには、決定的に何かが欠如してる。

 

ていうかこれ、ていうかこれ、

 

 

「ねえ、このタワーさ、チンコみたいやね」

 

「うん、チンコみたいやね」

 

 

ああ、そうだ。チンコみたいなんだ、これは。

 

かつては「日本の玄関口」と呼ばれた下関。

その海沿いにチンコに良く似た建物がズドン!誰か核持って来い。

 

いやいや、江島さん、何も行政を上げてウケを狙わなくても!

 

他人の家に赴いてみると、玄関にティンコ型のモニュメント。

 

「やあ、いらっしゃい!」

 

セコムを呼ぶね、僕なら。

 

 

結局このプロジェクトは大コケ、現在も赤字を出しまくりらしい。

 

夢タワーなんて名称はどこへ消えたのか、地元民はこぞって

「チンコタワー」

と呼んでいる。ある意味愛されていると言えないこともない。

 

一番困るのは外部より来た人に色々聞かれた時だ。

 

「何?あのチンコみたいなビルは…」

 

これ、マジで聞かれますから。責任とれよ下関市。

 

しかも中で働いている人も、かなりセンセーショナルでして。

普通エレベーターガールとか、受付の女性って、まあそれなりに容姿端麗な方を揃えて然るべき

だと思うのですが、そういう政治的配慮は一切無視。

 

逆に

「これほどの人材だけを集める方が難しいんじゃねえの」

ってくらいの前衛的な造形をした絶望的顔面を具備する人がワラワラと勢ぞろい。

まるで「一見さんはお断りだよ!」って言ってるかの如き迫力。

 

 

 

こき下ろしましたが、折角駅前の良い立地で、広大なスペースを使ってるのに…

もっとやりようがあったんじゃねえのか?というのが地元民としてのホンネのところ。

タワーの横にある「夢広場」というスペースも、薬物売買や援助交際の温床となるなど

おいおい行政が犯罪を後押ししてどうするんだよ、というアチャーな状態。

「夢」という綺麗な言葉の響きさえも地に陥れた下関市、何ともおそろしい魔都である。

 

 

 

そういうわけで、何かと観光客を呼び込みたい、という地方の思惑はかなり強い。

お隣の国韓国といえどそれは例外ではないらしく先日のYAHOOニュースにこんな記事が踊った。

 

「冬ソナ舞台にヨン様立つ 180cm等身大」

 

何でも冬ソナのロケ地となった場所に、某ペ氏の等身大人形をズドンと設置して、

日本人観光客をゲットした上でジャパンマネーよカモン!なプランらしい。

 

当局もノリノリで、「観光客がヨン様に会えて喜んでくれることを期待している」

と自信を隠せないようだ。その割には設置費用が50万円ってどういうことだよ。

 

まあ今の日本は空前の韓国ブーム。

ドラマの中でぺ氏が入院していた「韓国国立癌センター」への「一日検査入院コース」

というまるっきり狂気の桜が咲き乱れたとしか思えない程マッドな企画も、

来春にはマジで敢行されるらしいので自信を持つのも当然なことか。

しかし、自分が入院してる病院に血色のいいプクプク太ったババアがキャーキャー言いながら

検査に来た日にゃあ、ヒ素カレーでも食わせてブッ殺しますよ僕は。

 

で、一夜明けて今日のYAHOOは

 

 

「似てない?ヨン様の等身像 『韓国の恥』とも」

 

(以下引用)

 

像は制作費500万ウォン(約50万円)で7日にほぼ完成し公開された。

ドラマで登場するマフラーにコート姿だが、顔がやや大きめ。

ファンらは同市のホームページの掲示板で

 

「国の恥だ」

 

「マフラーと眼鏡をすればペ・ヨンジュンになるわけではない」

 

と批判を展開した。

 

大爆笑。

 

「ほぼ」完成ってあたりから突っ込みどころが満載なんですけど、批判の声がポップで面白い。

 

50万使って国辱モノの人形を作るだなんて、壮大なハードMプレイだとしか思えませんが、

隣の国・韓国でもやはりお上の視点というのは狂っているのかな、と感じさせられた出来事でした。




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