「PORORI the aftermath」


「お父さん!お父さん!」


「ハハ、どうしたオマ太郎?」



前回のポロリ事件で、どういう神のいたずらか僕には新しい息子ができた。(顔つき)

孤児が増えつつある現代において、僕という父親を持ったこの子はとても幸せだと思う。

ハハ、こういうのを親ばかって言うのかな。



せっかくできた可愛い息子。

僕は中学生の時に学んだ星占術を使って名前を付けることにした。

オマ太郎という、天皇陛下に少しだけちなんだ名前を…。




オマ太郎はとても活発な息子だった。

生まれてすぐにつかまり勃ちをし、その2秒後にはもう首がすわってた。

首があるようにはとても見えなかったけど、おそらく首がすわってたと思う。そう信じないとやるせない。




しかし、これもまた運命のいたずらか、僕はウィーンで行われる会議に出席するためしばらく家を離れなければいけなかった。

何の会議かはよう分からんかったけど、とにかくウィーンだかバイブだかに行くことになった。

いくら可愛い息子とは言え、まだ生まれたばかり。

ウィーンまでの長旅に耐えられるはずもない。

僕は泣く泣くオマ太郎を家に置いて行くことにした。



東京の冬は寒い。

僕はオマ太郎のために、新しいベッドを買ったんだ。

オマ太郎をそっと寝かしつけて、僕はウィーンへと、飛んだ…。













(寂しいよ!お父さん!)




スマン、オマ太郎。帰るまでの辛抱なんだ。

オマ太郎、愛してる、オマ太郎。









(そして5日後…)








ウィーンでの会議は滞りなく終了し、僕は急いで家へと向かった。

思いは一つ。そう、オマ太郎に会いたい…。





(ガチャ)



「ただいま!オマた、ろ…う……」



「おー、おかえり(ジャラジャラ)」



僕は思わず目を疑った。

あの可愛かったオマ太郎が、悪そうな仲間と、煙草をふかしながら、麻雀を打っている…!



「お前…!何やってるんだ!」


「んだようるせえなジジイ!」



そう、僕がいない間にオマ太郎は反抗期を迎えていたのだ。

オマ太郎…お前…手もないのに麻雀なんて…!打てるかのか…!



「オマ太郎!貴様という奴は!」

「うるせえつってんだよ!あっち行けよ!」

「ねえオマちゃん、誰よあの親父?」

「ああ、悪いなケメ子。気にしないでくれ」



こ、こいつ、僕がいない間にガールフレンドまで…!

いや、ガールフレンドなんて生易しいものじゃない。

彼女のオマ太郎への潤んだ瞳は、まさしく娼婦のそれ!

なんてことだ…既に初体験まで…!ベータカロチンの塊みたいな外見のくせに…!



「オマ太郎、ちょっとこっちに来い!」

「なんだよ!うるせえんだよ!」



あばれはっちゃくより暴れはじめたオマ太郎をなんとか抑え付けて、僕はオマ太郎と話し合うことにした。




「なあ、オマ太郎、なんでそんなことに…」

「お前が全部悪いんだよ!俺をほったらかしにして…何日も…何日も…!」

「…!」



愕然とした。

全ては僕のせいだったのか。

人格形成の大事な時期に、何もかもを放っておいたこと、それが諸悪の根源だったのか…?



否!違う!たとえ今はこんなでも、愛を持って接していけばきっと変わるはず!

こいつは…こいつは少し甘えたいだけなのだ…!そうに違いない…!



「オマ太郎、お前の言う事もわかる。しかしだな…」

「うるせえんだよ!もう放っておいてくれよ!」



ダメだ、完全に心を閉ざしている。

こうなっては通り一遍の説教など通用しないだろう。

やはり…やるしかないか…愛のムチを振るうしかないのか…!


できることなら避けたい…。


否!オマ太郎のこれからの為にも、心を鬼にしてムチを振るわなければいけないのだ!



「オマ太郎!貴様という奴は!」

「な、何するんだ!う、うわ、うわぁぁぁぁ!」





(バシッ!バシッ!)




(ドンドンッ!)




(……!……!!)







それから後の記憶はない。

どうやら僕はキレ易いタイプの人間だったようだ。

気が付くと、僕は部屋に立ち尽くしていた。


変わり果てたオマ太郎の姿を呆然と眺めながら…。












(ズババーン)



まあ、所詮はニンジンっちゅー話ですよ。

オマ太郎?ポロリ?何それ?頭おかしいんじゃないの。


という訳で、ニンジンはニンジンらしく、おとなしく僕の胃袋に納まりましたと、さ。





おしまい。














(コロシテヤル)






ハハ、そんな目で見るなよ。





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